2012年8月29日水曜日

第1回パロロワ名作劇場


昔チャットでだらだらしゃべっていたものの残骸がHDDの奥底から出てきたので、整理して再度呟いてみようかと。
なお独断と偏見によって語りますので十中八九作者の思惑からは外れたりします。


第1回:「ふしぎなおくりもの」(漫画ロワ244話)

http://www31.atwiki.jp/mangaroyale/pages/334.html


「ロワで一番好きな好きな考察話をあげなさい」といわれたら、アニロワ2ndの「月下の棋士」とこの間で延々と迷うんじゃないだろうか……そのぐらいに好きな考察話である。
なぜそこまで好きかといわれるとこの考察が『読んでてワクワクする』考察だから、という一言に尽きる。



通常、考察話は地味なものである。
さもありなん。動きはないし、キャラクターの色を出す方法も会話、合いの手と割合限られる。
現役時代、考察話は書くのは好きであったが、読者を楽しませたかというと……ちょっと自信はない。

その点この「ふしぎなおくりもの」は秀逸である。

まず着眼点がすばらしい。
「支給品」はパロロワにおいて重要な要素であり、各キャラが持ち支給品から考察を重ねるというのはよくある話である。
だが『全参加者の支給品を特定し、そこから考察を始める』話をやったのは後にも先にもこれぐらいだろう。

もうこれだけでつかみはOKである。
通常、考察話は『キャラクターがこれまでの状況を整理しつつ、主催の思惑、各人の動向などを推測し、これからの行動を決める』というものであるが、『第三者視点が、支給品だけに話を絞って』から始まるために、話の着地点が見えないのである。
そのため続きが気になって、ついつい考察に引き込まれてしまう。

さらにそこから誰も気にしなかった「ランダム支給品の数」、言われてみると不自然な「見せしめキャラの支給品」に対する質疑応答という段階を踏み、満を持して最後の支給品登場に持っていくのである。

この話は端的に言ってしまえば『独歩ちゃんが突入の切り札を見つける話』なのだが、引き込ませる考察という前振りをへたおかげで、ただアイテムを出すよりも切り札感覚というか、重要性を高めさせ、漫画ロワの最終決戦前にあるであろう突入の雰囲気を嫌がおうにも盛り上げてくれるのである。

漫画ロワを読んだことのない人は是非、漫画和露を追いかけてからここまでたどり着いてほしい。
単体で読んだとしても十二分に面白いが、全体的な流れの中でのこの話はさらに面白く感じられること請け合いだからである。


なおメタ的なことに触れると全支給品を矛盾なく設定するために費やされただろう労力にも敬意を払わざるを得ない。俺なら絶対やりたくない。
ぶっちゃけパロロワなんて素人リレー企画である。何かの弾みに至急品が増えたり減ったり。またそれに気づかなかったりといったことは良くあることである。
それをひとつ残らず調査した、その労力だけでも尊敬モノである。




……うーん、読み返してみたがやっぱり好きだわ、この話。