2013年2月5日火曜日

第3回パロロワ名作劇場

久々の更新である。
なおやっぱり独断と偏見によって語りますので十中八九作者の思惑からは外れたりしますがご了承ください。

第3回:GAME OVER ~Thank you for playing!!~(新安価ロワ最終回)
~爽快感溢れる最終回~


とりあえずコレを読んだときの気持ちは『物凄いものを読んでしまった』。これに尽きた。

『これは新作ゲームのロケテである』、という他のロワにないOPから始まった本ロワは、別名クソゲロワとも呼ばれるほどの書き手の暴そ……もとい、ロマサガもビックリの自由度とソニックもビックリのスピードで話が進んでいった。
故に自分はこのまま突き抜けるような、そんなパワー全開の、力任せの最終回を想像していたのだ。
だがしかし、そこから飛び出してきたのはシリアスかつ、一片の無駄もない完成された最終回だったのだ。



そんな訳で好きな理由を考えてみたがとりあえず3つほど思いついた。


*その1 生かされる独自性

パロロワwikiを見てもらえばわかることだが、現在パロロワというものは非常に多岐にわたっている。故に各ロワで差別化というか、独自性を生かすことが重要だと思うわけである。
そんな中、新安価ロワの独自性は完結スピードだったり、自由度だったりももちろんあると思うのだが、個人的には『二つの世界が描かれる』という点を推したい。

前述の通りこのロワはアーケードゲーム(という体)なので、ゲーム内の出来事に加え、ロケテという外の環境も描かれる。しかし最終回一話前の74話まで、それは基本的に一方通行の出来事として描写されてきた。(クソゲー→アンケートにもう余白がない/台パンからの出禁コンボ/好きなキャラは本バージョンでは使えないので帰宅……etc)

しかし最終回においてゲーム内と現実は互いに干渉しあう。
現実世界でプレイヤーが時間を稼ぎ、ゲーム世界で意思を持ったキャラクターが敵の本丸に突入する。二つの最終決戦は平行して進展し、最後は"一つになった"。
こうして『現実』と『ゲーム』という二つのフィールドがあるという独自性を描きつつ、最後は一つに昇華させたのである。
これ以上ない相応しいラストであり、もうお見事という他ない。


*その2 絶妙なカタルシスのコントロール

さて、カタルシスを得る為の鉄則といえば『落として上げる』、コレに尽きる。
しかしこの最終回はそれだけでなく、『落として上げてそのまま綺麗に着陸完了』といった感じに、アフターサービスまで万全ななのである。

ゲームゆえのループによる無情さとほむらの孤独と絶望をしっかり描写(落とす)
→しかしそれを打ち破るための仲間が手に入る(上げる)
→それを打破するための現実とゲーム内、両方で行われる最終決戦(さらに上げる)
→リッド編EDへ(ソフトランディング開始)
→原作、おりこ☆マギカを生かした展開(ソフトランディング2段階目)
→そしてゲーセンED(これ以上なく綺麗に着地)

……この流れが淀みなく行われているのである。
そこに無駄な箇所がなく、リズムよく読ませてくれるので読後感が抜群にいい
ロワSSを読んでここまですっきりするとは正直思ってませんでした、ええ。



*その3 愛だよ、愛

最終回タイトル、QMZがほむらに語りかける台詞、ほむらのラスト状態表の文字化け、そしてなによりラストシーンにゲームや、ゲームセンターに対する"愛"が溢れていると思う。
他のロワで『原作に対する愛』が溢れる話は見かけることがあるが、ゲームという『特定ジャンルそのものに対する愛』が見られる話というのは他に類を見ないのではなかろうか。

正直自分はロケテどころか、ゲームセンターにあまり行かない人間である。
……が、それでもちょっと行きたくなるような、そんな『こういうのが好き』というのが感じられたような気がするのだ。ラストシーンのモブの台詞がたまらなく心に響くのはやっぱり作者のそういう"愛"ゆえに、ではないだろうか。



……とまぁ色々理屈(?)を捏ねてみたが、そんなものがどうでもよくなるぐらい良い最終回だった。

本編も殆ど数レス×74話というリズムの良さで読めるので、暇なときにサクサク読んで、パロロワ屈指の爽快感溢れる"エンディング"を体感してほしい。
そしてその後30話オーバーのエピローグを満喫してほしい。何かすごいから。
なお、出来ればスピード感を重視するため一気読みを推奨する。



……ウーン、読み返してみたがやっぱ好きだわこの話。

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